みなさま
お世話になっております。M&A365代表の森永でございます。
7月にも多くのM&Aが発表されました。
この中で弊社が注目したM&A事例をご紹介いたします。
ビズリーチ社、HRテックのThinkings社を140億円で子会社化
ビジョナル株式会社(東証プライム上場、証券コード4194)の連結子会社である株式会社ビズリーチは、Thinkings株式会社(東京都中央区)の全株式を140億円取得し子会社化。
https://www.visional.inc/ja/ir/ir_news/auto_20250723518389/pdfFile.pdf
対象のThinkings社とは
2020年設立のHRテック企業です。https://thinkings.co.jp/
新卒採用向けに強みを持つ採用管理クラウドシステム「sonar ATS」を主力サービスとして展開しています。
今回の対象会社のThinkings社は、創業期から複数のVCから資金調達を受け、プロダクト開発と市場拡大を推進してきました。直近の業績を見ると、売上高は年々成長を続け、2022年頃には12億円、2023年には15.6億円、そして2024年7月期には約19.8億円に達しています。2024年7月期に初めて営業黒字を計上しております。
ビズリーチ社は、この会社を140億円で買収しました。高い期待を寄せていることがわかります。
ビズリーチ社側の狙いとは?
親会社のビジョナル社は、中長期的な戦略として「HRテック領域のエコシステム構築」を掲げています。具体的には、採用領域に留まらず、入社後のタレントマネジメント(人材の配置・評価・育成)や労務管理・人事労務の効率化まで、人材に関する価値提供を一気通貫で行うHCM(Human Capital Management)エコシステムの実現を目指しています。
Thinkings社の採用管理システムのプロダクトは、国内市場で先行者優位を持ち、多くの企業の標準的な採用管理ツールになりつつあります。
競合として、国内、海外の業者が複数おりますが、日本の新卒採用の特殊な慣行にきめ細かく対応できる点などを武器に、大手向け市場で高いシェアを占めていきました。
一方、ビズリーチ社も同領域では「HRMOS採用」を展開しておりますが、どちらかと言うと中堅・ベンチャー企業向け市場でのシェアが高いようです。今回の買収を通じ、大企業からベンチャー企業まで、幅広くカバーできることになります。
成長市場かつ、スイッチングコストが高い分野において、早期のシェアを取っていく戦略なのではないでしょうか。
また、ネットワーク効果という、「ユーザーが増えれば増えるほど価値が高まる」理論も意識しているのではと思います。
ビジョナル社(ビズリーチ社)過去の主なM&A
以上です。今月もよろしくお願い申し上げます。