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M&A

“退職金”という言葉の魔力と認識のズレ

〈結論〉

  • 売却に伴い社長を退任すると、譲渡代金とは別枠で退職金がもらえるというイメージを持っている人がいるが、別枠ではもらえないことがほとんどである。
  • 社長や役員を退職すれば退職金を貰えるものだと思っていると、思わぬ落とし穴にはまることがある。
  • 譲渡代金の内数として退職金を活用することはよくある。

 

〈内容〉

日本では、終身雇用や長期間の雇用を前提に、退職金制度を設計している会社が多く、長期間勤務すれば退職金をもらえるのが当たり前という文化があります。

役員においても同様で、役員退職慰労金制度を作っている会社も少なくありません。

 

しかし、M&Aにおいては、必ずしもこの通りではありません。

売却に伴い社長を退任すると、譲渡代金とは別枠で退職金がもらえるというイメージを持っている社長は一定数おりますが、別枠ではもらえないことがほとんどです。

 

M&Aの際の取引は、会社全体の価値はいくらか、そのうち、株主に帰属する価値はいくらかという計算をし、譲渡代金が決定されます。

退職金は、その価値を構成する要素の一部でしかありません。

 

もし、譲渡時に退職金を支給する、もしくは譲渡後に退職金を支給することを約束してもらうのであれば、譲渡代金の内数の中で調整となります。

 

私は、色々な会社様のM&Aをお手伝いをしたり、他の仲介会社が進行しているお話のセカンドオピニオンをしているのですが、ここの点のそもそもの認識の食い違いを多く見てきました。

 

売却側は、退任に伴い当然に退職金をもらえると思っておりますが、買収側や仲介会社は、当然に退職金は発生しないという構図が多いです。

これは明らかに仲介会社の説明不足です。

 

退職金という言葉には、別枠と思ってしまう魔力があります。

仲介会社から説明がなければ、退職金は別枠で発生するのか、そうでないのかをしっかりと確認しましょう。

 

一方で、譲渡代金の内数として退職金を活用することはよくあります。

こちらは、別の記事にてお伝えいたします。

 

〈おわりに〉

  • M&Aでは、一方は当たり前だと思っていることが、もう一方では当たり前ではないことがよく起こります。
  • M&Aはそうそうある取引ではありません。気になったことはどんどん質問しましょう。

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