お問い合わせ
M&A

月間M&Aニュース|2025年10月

みなさま

 

お世話になっております。M&A365代表の森永でございます。

 

 

8月にも多くのM&Aが発表されました。

この中で弊社が注目したM&A事例をご紹介いたします。

 

 

 

WOLVES HAND社、第二会社方式により飛鳥メディカル社の承継会社を取得

https://ssl4.eir-parts.net/doc/194A/tdnet/2699678/00.pdf

 

 

 

第二会社方式とは

今回の買収で用いられた第二会社方式とは、中小企業の事業再生においてよく用いられる手法の一つです。その概要を平たく言えば、「事業を新会社に移して再出発させ、旧会社の債務は整理する」というものです。

 

第二会社方式とは「財務状況が悪化している企業を、収益事業(Good事業)と不採算事業(Bad事業)に区分し、収益事業を新たな受け皿会社(第二会社)に移転させる一方、不採算事業や債務は旧会社に残し、旧会社を解散・精算して清算結了する事業再生スキームの一種です。

 

 

 

第二会社方式のステップ

第二会社方式の進め方を一般化し、今回のケースに当てはめると、次のようなステップになります。

 

  1. 受け皿会社(第二会社)の用意:WOLVES HAND社がスポンサーであり、新設された飛鳥メディカル承継株式会社が受け皿会社にあたります。
  2. 事業の切り離し(会社分割/事業譲渡):飛鳥メディカル社の医療用機械器具の開発・製造・販売事業を新設分割により新会社(飛鳥メディカル承継株式会社)へ移し、債務超過などの負債は旧飛鳥メディカル社側に残しました。
  3. 第二会社で事業継続:新会社である飛鳥メディカル承継株式会社がWOLVES HAND社の完全子会社として債務のない状態で医療機器事業を継続し、旧来の取引先や従業員も新会社に移行することで事業の継続性が確保されています。
  4. 旧会社の清算:旧飛鳥メディカル社は債務超過のみが残る形となり、特別清算などの手続きで清算が進められる見込みです。金融機関などの債権者も、事業が新会社に引き継がれていることで一定の回収可能性が担保されると判断し、このスキームに同意したものと考えられます。

 

 

第二会社方式のリスクと留意点

第二会社方式には、リスクもあります。

債権者の利益を不当に害することを目的として資産を移した場合、後からその行為を取り消される可能性があります。例えば、価値ある事業をタダ同然で新会社に移し、旧会社の債権者に何も配当しないような極端なケースでは「資産の不当な持ち出し」と見なされ、法的に無効とされる恐れがあります。

また、税務上のリスクも生じるケースもあります。

今回のケースでは、法令遵守に最大限配慮しつつ手続きを進めたと考えられます。取得価額を非開示としつつも「直前純資産の15%未満」と記載したのも、株主や債権者への影響が限定的であることを示唆し、不当なディールではないことを示す意図があるのではないかと想像しております。

 

 

 

事業再生の奥の手

まとめると、第二会社方式は事業再生の奥の手であり、「企業は潰しても事業は潰さない」ことを可能にするスキームです。飛鳥メディカル社のケースでは、この方式によって同社のレーザー医療事業という価値が未来に繋がれ、WOLVES HAND社という新たなバックボーンの下で再スタートを切ることになりました。

 

 

以上です。今月もよろしくお願い申し上げます。

最新情報

TOP