〈結論〉
- 影響度が大きいマイナス情報ほど、交渉相手に早めに伝えるべき
- 事前の準備段階で、経験豊富なM&Aの専門家に点検してもらい、影響度の大中小と、どの段階で相手に伝えるかを協議すべき
〈内容〉
「叩けば埃が出る」、という言葉があります。「どんな人でも、深く細かく探れば、何か欠点・弱点が見つかること」を意味する言葉だそうです。
会社も一緒で、長年事業をやっていると、何かしら問題を抱えるものです。
このようなマイナス情報、ネガティブ情報はM&Aの交渉の過程で、どこかのタイミングで相手に伝えなければなりません。
私は、影響度が大きい情報ほど、交渉相手に早めに伝えるべきだと考えており、普段からそのようなアドバイスをしております。
事前の準備において、点検をしておきましょう。
ではどのように点検をすべきでしょうか。
まずは、問題と思われる事象を洗い出し、影響度を大中小で区分けしてみましょう。
影響度の大と中は、現在進行系や将来のマイナス情報、影響度小は過去のマイナス情報と定義しましょう。
影響度大は、例えば、今後主要取引先の取引が無くなる可能性が高いことや、現在大きな訴訟を抱えているなど、キーマンが退職予定であることなど、M&Aの交渉が止まる可能性が高い情報や、事業の存続に影響が出る情報です。
影響度中は、決算書の内容が実態と違うところがあるがそのままにしている、簿外債務がある、法令違反状態の事象がある、労使トラブルを抱えているなど、相手にとっていわゆる「リスク」となりうる事象です。
大体の問題は影響度中に分類されると思います。
影響度小は、過去に発生したがすでに解決している、今後起こる可能性がない問題などが当てはまると思います。
自分たちは問題だと思っていなくても、交渉相手は問題視をするケースも多々あります。
置かれている状況が違うと、違う視点で事象を捉えるということですね。
一方、社会的に見れば問題の事象でも、その業種業界では認められている商慣習もあります。
M&Aはどこに落とし穴があるかわかりません。経験がものをいう世界なので、経験豊富なM&Aの専門家に点検してもらい、どのタイミングで交渉相手に伝えるべきかのアドバイスを受けましょう。